野沢尚さんのデビュー作。1997年の江戸川乱歩賞受賞作品です。
脚本家から作家に転身した著者のデビュー作にふさわしく、そこに描かれているのは、TV業界の裏に潜む闇です。
「誰のための」「何のための」報道であるべきか、本作で何度も問いかけられるその言葉こそ、著者が業界で生きてきた中で本当に感じていたことなのではないでしょうか。
記録から編集という作業を経て、映像は天使にも悪魔にもなりえます。それは報道だけに限ったことではなく、あまねく映像と呼ばれる全てに当てはまることでしょう。
映像業界と関係の深いところに生きている私自身も常にそのことを考え続けていかなければならないと、改めて思いました。それがメディアに関わる者の責任であると。
実はこの作品も過去に単行本で読んだことがあったのですが、業界の方々と接する機会を持った今、再度読み直してみたくてアマゾンで購入しました。やはり、あの頃とは少し違う感情が芽生えたことは事実です。
ミステリーとしての質は残念ながら今一歩です。ですが、それを補って余りある迫力(筆力)があります。









