以前、単行本で読んではいたのですが、本屋の文庫新巻コーナーに並んでいたのを見て、懐かしくなり購入。改めて再読してみました。
横山秀夫氏は私の好きな作家ベスト5に入る方です。
特に警察小説においては既に大家であり、右に出る人はいないと思うくらい、その克明な背景描写と人間群像の描き方は素晴らしいと、どの作品を読んでも思います。はずれがない作家と言えます。
その横山氏が、もともと新聞記者、いわゆるブンヤであったことは有名ですが、本作の舞台となった日航ジャンボ墜落事件の時には現場であった群馬の上毛新聞に勤めていたので、まさに事件をブンヤとしての生身で感じていたということです。横山氏はずっとこれをテーマに書きたかったはずだと思います。ですが、単行本として本作が発表されたのは2003年。「ルパンの消息」でデビューしてから12年後でした。きっと、その間、横山氏なりに多くの感情を醸成し、12年かけてやっと一つの形にまとめたというのが本当のところではないでしょうか。
ここには、男の生き様が余すところなく描かれています。戦後最大の事件に向き合う新聞社の人々を通して、生きるということに人が何を感じ、どう動くべきか、人と人との繋がりとは何か、といったテーマが、緊迫感ある著者の筆を通して語られていきます。
私は、本作をミステリーではなく、ハードボイルドのジャンルにカテゴライズしました。
実際の事件を扱いながら、安易に遺族の声や涙を入れたりせず、あくまでも新聞記者という客観的な報道の立場にいる主人公達を通して、その悲しみや人の性をしっかりと描ききった本作は、氏の警察小説の大家という冠をヒューマニズムの大家に置き換えたいくらい、読み応えのある作品だと、改めて思いました。









