先日、著者の「リアルワールド」を読んだ際に、解説の中で本作のことを知り、まだ「リアルワールド」読了前にも関わらずアマゾンでポチッと購入してしまいました。というのも、その解説に、本作が映画製作を題材にしていると書いてあったからです。ローバジェットのショートフィルムではありますが、曲がりなりにも映画を作る仕事に片足(までいってないですね、私バックオフィスなので)突っ込んでいる身としては、興味がありまして。
さて、本作は、映研あがりで気負いすぎた新人監督、名映画監督を夫に持つ敏腕女性プロデューサー、そのプロデューサーの元恋人のベテラン撮影監督、たたき上げでスターに上り詰めた男優、元アイドルからヘアヌードで復活を果たした女優といった、個性溢れる登場人物が出てきますが、彼らがそれぞれ「映画」という得体の知れない化け物に取り憑かれて翻弄されていく様が、リアリティとはほど遠い非現実感を持って描かれています。映画という虚構の世界故に、リアリティの無さが逆にリアルを感じさせるのかもしれませんが、キャラクターの強すぎる個性がストーリーを凌駕してしまっていて、彼らが好き勝手に動いた結末は不思議なリアルさを持っています。
なんだかすっきりしない読後感は、桐野作品ならではの現実へと続く道を提示して終わるからなのかもしれません。









